肌にはたくさんの細菌が生息していて、肌を健康的な状態にしてくれたり、逆に肌に悪影響を与えたりするなどの働きをしています。「悪玉菌」という肌に悪さをする細菌も数多く存在しているのですが、みなさんはご存知でしょうか。今回の記事では、そんな悪玉菌の正体について明らかにしていきたいと思います。
悪玉菌は、もともと肌にいる細菌の1つで、さまざまな悪さを働くことで知られています。その悪さによって、肌が荒れたり、ニキビができたりします。そんな悪玉菌には、実はさまざまな種類があります。ここでは、主な悪玉菌を2つご紹介します。
肌の悪玉菌と言えば、この黄色ブドウ球菌が代表的です。黄色ブドウ球菌は、肌荒れなどの肌トラブルにつながる原因とされていることからも、まさに美肌の敵と言えます。また、最近ではアトピー肌の原因菌とも言われ、今もなお研究が進められていることでも有名な細菌です。
もう1つの悪玉菌が、悪玉アクネ菌です。一般的にはニキビの原因菌として知られ、実際に、よくニキビを発症する人の肌には、この悪玉アクネ菌の数が多い傾向にあるといわれています。ちなみに、カラダにできるニキビの場合は、アクネ菌ではなくマラセチア菌が原因と言われているので、少し違うことにも注意しましょう。
悪玉菌の代表格には以上の2つが挙げられます。しかし、悪玉菌による肌トラブルは、対策をしっかり行なうことで、未然に防ぐこともできます。次では、悪玉菌が肌状態を悪くさせるメカニズムについて見ていきます。
悪玉菌が肌トラブルを引き起こすメカニズムは、細菌それぞれの性質によって異なります。ここでは、黄色ブドウ球菌と悪玉アクネ菌の性質から、肌トラブルが起きるしくみについて見ていきましょう。
皮膚常在菌の中には表皮ブドウ球菌という善玉菌もいて、黄色ブドウ球菌の増殖を抑制する役割を担ってくれています。しかし、洗顔やスキンケアのしすぎによって、表皮ブドウ球菌が減ると、この働きをしてくれる細菌がいなくなり、黄色ブドウ球菌はどんどん増殖していきます。
実は、黄色ブドウ球菌には、肌にダメージを与える毒素を出す性質があります。つまり、この黄色ブドウ球菌の数が増えることが、肌にダメージを与えることにつながるのです。そして、その状態が続くことによって、肌荒れなどのトラブルが引き起こされます。
悪玉アクネ菌には、皮脂を吸収した時に肌を傷つける「過酸化脂質」を出す性質があります。この過酸化脂質が増えすぎると、悪玉アクネ菌が生息している毛穴を塞ぎ、増殖に最適な環境をつくり出してしまいます。そして、悪玉アクネ菌が増殖することによって、毛穴の中で炎症が引き起こされ、結果的にニキビの発症につながるのです。
では、肌トラブルの原因となる悪玉菌を減らす方法はあるのでしょうか。結論からお話しすると、今のところ悪玉菌を直接的に減らす方法はわかっていません。また、悪玉菌をすべて無くすことも難しいと言われていますし、悪玉菌が全ていなくなってしまった肌も、最近バランスが崩れている状態なので、最適とは言えません。しかし、間接的に過剰に増えてしまった悪玉菌の減少を目指せる方法はあります。
それは、皮膚常在菌の1つでもある善玉菌を増やすことです。さきほどもお話ししましたが、善玉菌の代表格「表皮ブドウ球菌」は、悪玉菌の増殖を抑える働きを持ちます。具体的には、「抗菌ペプチド」という物質を生成したり、肌の保湿力とバリア機能を高める「グリセリン」や「脂肪酸」を生成したりして、黄色ブドウ球菌や悪玉アクネ菌の増殖を抑制します。その結果、悪玉菌の減少を期待することができます。
悪玉菌による肌トラブルを未然に防いでおきたい方は、ぜひ善玉菌の増殖を目指してみてください。増やし方については『美肌を目指せる「美肌菌」には増やし方がある?』でご紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。
悪玉菌は細菌バランスが崩れることによって、肌トラブルを引き起こします。また、直接的に減少させる方法がわかっていないことから、美肌を目指す方にとっては、とても厄介な存在と言えるでしょう。ただ、間接的に悪玉菌の減少効果を期待できる方法はありますので、うまく活用しながらキレイな肌を目指していきましょう。